レオレオンつめあわせ。計5本。
一部レオン人外設定有り。
■レオン人外設定
指先がかけた魔法で、きらきらと世界が光る。
「これ、どうやってるの?」
「さてねえ」
「教えてよう。お兄さん気になるなあ」
「お兄さんなんだから、子供の僕に聞かなくてもわかるんじゃない?」
「大人だってわからないことがあるの」
「……子供の部分を否定してよ」
おや、拗ねちゃった。なるほどなるほど、まだまだ子供だ。
くすくす笑って頭を撫でると、へそを曲げたレオンくんはぷいっとそっぽを向いてしまう。
でも振り払ったりはしないんだ? とからかう言葉は飲み込んで、彼が描いた輪を見つめた。
きらりと紫の指輪が光る。すらりと長い指によく合うまあるい輪っか。
これがタネかな? と思っていじってみたことがあるんだけど、そうじゃないみたいなんだよねえ。
「うーん、いったいどういうアレやら」
「ふふん、人を子供扱いするレオさんには教えてあげないよ」
「おや、ちゃあんとベッドの中では大人扱いしていますのに」
「……」
げし、と裸の脛を蹴られてお互いにブーイング。可愛い踵はなかなかの攻撃力だ。
余計なことを言いなさんな、とお茶目な我が舌をぺろりと出して、ちっちゃい頭から手を離した。
変な話だね。僕と君はコイビトなのに、僕は君をなーんにも知らない。
君の瞳の色。君のそのキラキラした魔法の正体。君が満月の夜には決して会ってくれない理由。
ちょっと考えれば簡単に答えは出るかもしれないけど、隠しようもないそれを素知らぬ顔で必死に隠す君に免じて、僕は無遠慮な大人の手をそっと引っ込める。
ほんとはね、なーんでも知りたい。
でも、この自己中心的になりかねない独占欲にはそっと蓋をして、僕は少し待ってみる。
「……気が向いたら、教えてあげるよ」
「ふふ、たのしみ」
ちょっとだけ歩み寄ってくる、君が見せてくれる「ホントの君」が見たいから。
■
「僕、レオさんのことが好きです。だから付き合ってください」
「……冗談?」
「マイナス五点」
「あっごめんなさいちゃんと考えますごめんなさい」
あれっ僕告白される側だよね? と、減点を言い渡されて思わず謝ってしまったレオは、自分を見上げるレオンを改めて見つめた。腕を組んでこちらを見上げるレオンの姿はどことなく胸を張っているように見える。
基本的に自分に対してきちんとした自信を抱いている彼の姿勢は、レオにとって好ましいものだ。
「冗談、はひどかったよね。ごめんね」
突然の告白に、半ば現実逃避のように口にしてしまった言葉を詫びると、レオンは納得したようにこくりと頷いた。
――そっか、この子、僕のこと好きだったのか。
言われてみればそんな態度を端々に見せていたような気もして、レオは少し気恥ずかしくなった。
他人に好意を向けられて悪い気はしない。なにより、レオ自身もレオンのことは好ましく思っていた。
それが恋愛感情――レオンが自分に向ける気持ちと同じなのか、は置いておくが。
「うーんと……返事は早い方がいいかな?」
「うん、早い方が嬉しいかな。どうしてもってわけじゃないけど」
「じゃ、いま考えます。えっとね、」
レオは考え込むように首を傾げて、彼の言葉と自分の感情を照らし合わせた。年下の少年からの告白の言葉に、同性からの好意にさしたる嫌悪もなく、なんだあ僕ってバイってやつだったのかなあ、などとのん気に考える。
その間にも自分の目の前に立つ少年はじっとレオの返事を待っていて、それがどこかかわいらしく見えた。かわいいかわいい、とよく口にはしていたが、こうもしみじみと彼のかわいさを実感するのは初めてだ。
「……とりあえずお付き合いしてみる、ってのでもいいなら、いいかな?」
「……本当に?」
「ほんとに。レオンくんに好きって言ってもらって、僕は嬉しかったしね」
まだ自分の気持ちはよくわからないけど、それでもいいなら。
そう言ってにこりと笑うと、レオンはこちらをじっと見あげ、ひとつ、ちいさく頷いた。
その後、安堵を含んだ震えた吐息がほっと吐き出されたのを見て――胸がほんの僅か、疼く。
――案外、自分の気持ちが固まってしまうのも早いかもしれない。
無意識にレオンの頭を撫でながらそう思ってしまったレオは、「頭撫でないでマイナス三点」と告げられたツンツンした彼の言葉に、たまらず笑ってしまったのだった。
■
「レオンくん、新曲完成したんだー!ちょっと聞いてみて!」
うん、
「レオンくーん! 一緒にドライブ行こうよーご飯奢るから!」
うん、
「レオンくんはかわいいなーもう。お兄さんは嬉しい」
うん、わかったから。
僕を見て、僕を呼んで、そんな無邪気に笑わないでよ。
キリキリと胸の奥が痛む。それがなんなのか分からないほど鈍くはなくて、でもそれに気付いた時にはもう、向けられる笑顔を突き放すこともできなくなっていた。
屈託なく僕を呼ぶ彼には、たくさんの仲間が、友人が、ともすれば深い仲なんじゃないかと勘ぐってしまうほどに親しい相手がいる。彼が手を差し伸べてくれなければ、彼の周りには僕の入る隙間なんてどこにもなかった。
お兄さん、と彼は言うけど。お兄さん、と僕も呼ぶけど。
僕が立っていたいのは、あなたの「弟」って場所じゃないんだ。
「……ね、レオさん」
囁くように呟けば、無意識に「届かないで」と願っていた言葉はあっさりと彼に届く。
珍しく名前を呼んだ僕に不思議そうに首を傾げて、――また、彼は笑った。
「……なんでもない」
「えー、なにそれ!」
息も苦しいほどに痛むんだ。
あなたはなにも気付いていないと思うけど。
すきだよ、レオさん。
■
「レオンくん、コーヒー平気なんだ」
「お兄さんと違って子供舌じゃないからね」
「……生意気」
小さな紙コップを手にしたレオンくんが、僕に向かってにやっと笑う。
どーせ子供舌ですよ。チョコとココアが大好物、実はコーヒーが飲めないお兄さんですよ。
でも、君だって足なんかぱたぱたさせてさ。
子供っぽくてかわいいの、言ったら止めちゃうから言わないけど。
「だってさー、苦いより甘いほうが絶対おいしいじゃん」
「このよさがわかんないなんて、レオさんたら僕より子供なんじゃないの?」
「うっわ、今日のレオンくんはほんと生意気! そういうこと言ってると……」
「えっ、」
大人げない大人が、その大人ぶった唇を奪っちゃうかもしれないよ?
舌にじわりと、ちょっぴり苦いコーヒー味。
ふむ、いつものチョコレート味と違って、大人のキスって感じになるねえ。
「……うん、これならコーヒーも悪くないかも」
「……っ、……こんなの、飲んだうちに入らないんだからね!」
「え、じゃあもっと飲ませてくれる?」
「しね!!」
でも、苦いのはほどほどに。
次のキスはたっぷり甘い、いつものチョコレート味がいいなあ。
■
「ラブレターを書きました」
そう言って手渡されたのが、一枚のCDだった時、どんな顔すればいいと思う?
聞いてみてって言われて聞いたそのCDに、彼が歌う恋の歌が入ってた時、どんな顔すればいいと思う?
恥ずかしいよね。
ばっかじゃないのって思ったよ。
なんでこんな恥ずかしい真似できんのって。ラブレターってなんだよって。
なんだもうこいつ、ばかじゃないのって。
「君に想いを伝えるなら、僕が一番得意なことがいいなって思ったんだよね」
流れ込む音楽と、彼の言葉が頭の奥で重なるんだ。
大好きを馬鹿正直に僕に伝えている声が、心臓の奥まで届くようで。
ああ、ああもう、ああもうどうしてくれるんだ。
息することもままならない。僕から呼吸を奪ってあんたは何がしたいんだ。
泣かないで、って、泣いてるわけないだろばか。そんなんじゃない。
あんたがやってることが恥ずかしくて泣いてるだけだよ。嬉しくて泣いてるわけじゃない。
ばっかじゃないの。
ばか。
僕も好き、って言ったら、
この苦しい気持ち、あなたもわかってくれるのかな。
2013.08.26